1.看護婦の安全態度を測定する用具の開発について 528名のスタッフナ-スを対象に自作の「安全態度テスト」を実施した。66項目について反応分布の検討、主成分分析による内的一貫性の検討、因子分析による下位尺度の構成、下位尺度得点毎の安全性群別(安全群/非安全群)のT検定、ミス件数を従属変数とした重回帰分析などを行い、6尺度48項目のテストを作成した。さらに、テストの被検者が自己採点し、自己の安全度を容易に評定できるための集計用紙、換算用紙を作成した。 2.院内安全教育プログラムの開発について (1)安全教育プログラムは、「安全態度テスト」の開発のなかで明らかになった「安全への積極的関与」を重視して作成した。研修内容は、KJ法を用いて看護事故の発生要因を知る、自分の職場の事故発生要因を見つけ改善策を提案する、安全態度テストを実施し自己の安全度を知る、などとした。研修は1日3時間を2回と個人作業としてレポート作成を嫁した。 (2)J大学病院に平成9年に採用された看護職110名を対象とした。 (3)安全教育は同年6・7月に実施した。 (4)実験群/対照群の2群に分け、研修前後の「安全態度テスト」の実施、研修終了時のアンケート調査、事故発生状況の調査によって、研修の効果を測定した。なお対照群については、3か月後に同様の研修を実施した。 (5)「安全態度テスト」の結果と事故発生件数は2群に差がなかった。しかし、事故原因の質的分析では、実験群の方が事故原因の認識範囲が広いという結果を得た。今回の研修では安全態度に著明な変化を及ぼすことができなかったが、研修時期と方法についての示唆を得ることができた。
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