研究課題/領域番号 |
08672710
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 日本赤十字武蔵野短期大学 |
研究代表者 |
森 美智子 日本赤十字武蔵野短期大学, 看護学部・教授, 学科長 (10248966)
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研究分担者 |
丹羽 淳子 日本赤十字武蔵野短期大学, 看護学部, 助教授 (20248967)
堀川 直史 武蔵野赤十字病院, 心療内科, 部長
金井 悦子 日本赤十字武蔵野短期大学, 看護学部, 教授 (90248964)
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キーワード | せん妄 / 覚醒睡眠障害 / 不安 / 脳循環動態 / せん妄臨床評価尺度(DRS) / Mood Scale / 感情 / 入院生活状況構成因子 |
研究概要 |
本研究は精神不穏発症に関する看護視点からの基礎的研究に位置づくものである。 研究目的:せん妄発症に関する因子を明らかにするために、せん妄発症患者やせん妄発症頻度の高い状況患者の感情と、入院生活状況構成因子との関連を分析し、せん妄発症の誘因を明らかにする。 研究方法:不安内容の質、脳循環動態への影響、睡眠の質、この三要素に絡む入院生活状況構成因子を、参加観察データ(DRSを含む)とMood Scale(MS)を用いて分析する。2年の継続研究で、現在の対象数89(外科系79)名である。 結果:手術後せん妄は8例で、発症率は10.1%である。せん妄事例が少ないために、MSとDRSの相関はなく、手術前日の不安を反映するMSについても、せん妄群と非せん妄群の間に有意な差は認められない。以下は手術後せん妄発症患者の事例検討内容である。 手術後せん妄発症患者はすべて65歳以上で、性別は男性87%である。患者は消化器系が75%を占め、全例が全身麻酔・硬膜外麻酔を使用している。発症期間は手術後1〜4日間である。 薬物が原因とみられる3事例はベンゾジアゼピン系薬剤・H_2拮抗薬が使用されている。また全例に手術後、覚醒睡眠障害があり、創痛の持続、チューブ類・留置カテーテルの挿入がみられる。直後原因の薬剤はなく、身体的ストレス軽度の事例では、人的ネットワークがなく心理社会的状況が因子と見られる。環境はICU・HCU経由7例で、その中5例が帰室直後に病室で発症している。 以上、せん妄は覚醒睡眠機構全体のなかの解離現象といわれる。本研究でも全例に手術後、睡眠障害がある。今後例数をふやし、手術前の不安が睡眠障害に関与するかを手術前のMSから検討する必要がある。また、手術後の環境、感覚遮断、苦痛その他の不安、チューブ類の挿入、消化器系疾患に多い原因等を多変量解析から明らかにすることが課題である。
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