研究分担者 |
加藤 修一 東京都立神経病院, 医長
川村 佐和子 (財)東京都神経科学総合研究所, 社会学研究部門, 非常勤研究員 (30186142)
徳山 祥子 (財)東京都神経科学総合研究所, 社会学研究部門, 主事研究員
輪湖 史子 (財)東京都神経科学総合研究所, 社会学研究部門, 主事研究員 (70260312)
江澤 和江 (財)東京都神経科学総合研究所, 社会学研究部門, 主事研究員 (80207430)
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研究概要 |
1)神経筋疾患における呼吸障害進行の早期把握に関する研究:神経筋疾患の一つである進行性筋ジストロフィー症の在宅療養者(児)を対象に,非侵襲的測定機器であるパルスオキシメータを用い,動脈血酸素飽和度(SpO_2)の終夜測定を長期的・継続的に実施するとともに,脈拍や呼吸数等のバイタル・サインズ,一回換気量(自発呼吸下)などのデータと合わせて,呼吸障害の進行を早期に客観的に把握することを試みた。そして,次のような成長を得た:(1)デュシャンヌ型筋ジストロフィー症の男性において上記測定を継続し,夜間睡眠中のSpO_2値が一定レベル以下になる時間(desaturation time)等を指標として,人工呼吸療法への円滑な導入を図ることができた。早期対応により,非侵襲的方法の夜間実施という方法を選択することができ,QOL(生活の質)維持が図れた;(2)福山型筋ジストロフィー症の女性においては,上記測定により,疾患終末像である心不全に基づくと思われる呼吸不全の進行を捉えることができた。しかし在宅療養の場では,急速な状態悪化のモニタリングが困難であり,この点が今後の課題と考えられた。 2)在宅人工呼吸療法(HMV)の安全性に関する研究:HMVにおける安全性強化を図る目的で,「人工呼吸器をつけた児の親の会」の会員120名を対象として,郵送質問紙調査を実施し,HMVに伴うトラブルの経験について尋ねた。うち42名から有効回答が得られたが,29名(69.0%)が在宅療養中に何らかのトラブルを経験していた。トラブル件数はのべ60件で,その内容は,機器・付属備品の故障・破損・不具合や,機器の誤操作,電力供給の途絶,療養児の状態変化,などであった。これらを予防するためには,(1)合理的なケア手順の設定,(2)機器保守管理の強化,(3)予備器,予備備品の準備,(4)状態観察のためのモニター機器導入,(5)機器の改良,(6)複数介護者の配置,などが必要と考えられた。
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