米飯の官能検査より、貯蔵中の経時的な食味の低下が明らかとなった。外観、香り、味、テクスチャーに関する項目のうち、外観の「つや」、「白さ」の低下は特に速く、対照試料と比べて貯蔵7日目より有意に減少した。「総合しての好ましさ」は貯蔵15日目より有意に低下した。また、貯蔵後に外層粉を除去することで食味低下はかなり抑えられた。外層粉の成分組成は全粒粉、内層粉に比べ、水分以外で大きく異なった。また、貯蔵45日後、いずれの層も粗脂肪が減少し、水分、粗タンパク質および粗灰分の変化はなかった。全粒粉と内層粉の近赤外吸収スペクトルは非常に類似し、貯蔵中の変化は見られなかった。外層粉では、全粒粉、内層粉に見られない2306、2346nm(脂質由来)及び2058nm(タンパク質由来)付近の吸収が認められた。貯蔵に伴い、外層粉の波長2300-2310nm付近に著しい変化が見られ、貯蔵45日目まで吸収は減少した。貯蔵中の脂肪酸度は、全粒粉で変化は小さく、外層粉は貯蔵7日目から増加した。外層粉におけるカルボニル価、POV、結合脂質量は貯蔵15日目より増加した。他品種についても、外層粉の波長2300-2310nm付近に貯蔵に伴う吸収の減少が認められた。以上より、近赤外分光法により、貯蔵初期における品質劣化を外層粉の吸収波長2300-2310nm付近で評価できることが示唆された。
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