女性は結婚後も多様な生活を送ることが可能になってきているが、理想と現実のギャップがストレスを生じる可能性も懸念される。本研究は有配偶女性の生活ストレスの様態とその軽減に関与する諸要因を、家族ストレス研究の分析枠組みや測定尺度を用いて明らかにするとともに、社会資源としてのソーシャル・ネットワークに注目して分析することを目的としている。 長野県長野市在住の満25〜54歳の有配偶女性を選挙人名簿から無作為抽出し、郵送法による調査から得られた1455名の有効票を分析した。分析に用いた主要概念はストレッサー(家庭および職場におけるストレッサーと想定される日常的出来事)、リソース(夫婦の同伴行動、夫婦相互の情緒的サポート、世帯外のネットワークおよびネットワークからの援助など)、家庭生活感、役割アイデンティティ、家庭および職場のストレーン、心理的ストレス反応である。心理的ストレス反応はZungのSDSをもとに20項目(Cronbach's α=86)を設定した。 有配偶女性の心理的ストレス反応には、家庭内ストレッサー、世帯の年収、夫婦の同伴行動、夫婦相互の情緒的サポート、世帯外サポート、社会活動への参加、主婦アイデンティティの7変数が有意な効果を示した。全体としてはストレッサーの影響が非常に強くあらわれているが、夫婦関係の良好さやソーシャル・ネットワークおよびソーシャル・サポートの大きさもストレス軽減につながっていた。さらに、世帯外サポートに関して次のような興味深い知見を得ることができた。すなわち、ストレッサーのレベルを低、中、高に区分した場合、中程度のストレッサーには世帯外サポートの暖衝効果が示された。
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