本年度は研究総括を行った。本研究で得られた主な成果は以下の通りである。 1. 腸内発酵と消化器症状に関する基礎的検討 消化管輸送機能の検討 胃排出;インピーダンス法が有用であると考えられた。 小腸通過時間;呼気中水素濃度の測定を用い、液体食(牛乳)、固形食を考案、その有用性を確立した。 大腸通過時間;マーカー法が有用であると考えられた。 腸内発酵の測定 呼気中水素の濃度測定で可能であった。 2. 腸内発酵を受けやすい日常的な食物の特定 いも類とくにジャガイモ、豆類、野菜類とくにとうもろこし、果実類、乳、乳製品で腸内発酵が増加した。 3. 市販食物繊維飲料の腸内発酵の程度を明らかにした。 4. 高齢者より若年者の方が腸内発酵が盛んであった。 5. 腸内発酵に日内変動があった。 6. 運動時の消化器症状には腸内発酵の関与が少なかった。 7. 性周期により腸内発酵の変動は見られなかった。一方、小腸通過時間は黄体期に短縮した。 8. α-グルコシダーゼ阻害剤は腸内発酵を増大するが、薬剤を継続投与するにつれ、腸内発酵の程度が軽くなった。
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