研究課題/領域番号 |
08680018
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
横山 祐子 (加茂 祐子) 奈良女子大学, 生活環境学部, 助教授 (80204642)
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研究分担者 |
清水 哲郎 奈良女子大学, 生活環境学部, 教授 (40132344)
上藤 一郎 鈴鹿国際大学, 国際学部, 講師 (00281494)
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キーワード | 長寿化 / 定年後の生き方 / 高齢期 / 自由時間 / 余暇活動 |
研究概要 |
今日、長寿化にともなって定年後の長い人生が一般化しつつあるが、これは歴史的に新しい経験であり、定年後の生き方についての典型的なモデルが存在するとはいえないのが現状である。そこで、高齢期における様々な不確実への備えという問題とともに、定年を機に大幅に増加する自由時間の過ごし方が重要な課題となる。後者については、自由時間を利用して行われる余暇活動の充実がポイントとなる。 本研究では、自由時間活動ないし余暇生活に関する従来からの諸説に触れ、既存統計資料のデータをもとに55〜64歳という定年を挟む時期の自由時間の変化とその利用状況について分析し、更に小規模だが女性を対象とした調査の結果から余暇活動の実態と問題点について分析し、考察を加えた。 その結果、まず既存統計データからは、55〜64歳の時期における自由時間の利用状況について顕著な男女差が読みとれる。男性の場合は、有業者の方が無業者より積極的な余暇活動を行っている割合が高く、女性の場合は、有業者よりも無業者のほうが余暇活動は活発だとみられること、などの点から、女性の方が男性よりも柔軟に人生の転換期を乗り越え定年後の生活へとソフトに着地していると思われるが、女性の余暇活動の内容には日常生活に密着したものの多いことがその一因と考えられる。 また、女性の余暇活動のについての実態調査の結果からは、活動の頻度と活動時期(休日か平日かなど)および活動仲間によって様々な種類の余暇活動を数個のタイプに区分することが可能で、しかもそれぞれのタイプが特定の年齢層と結びつくことが明らかとなった。その原因の一つは、余暇活動を行うための環境条件、とくに活動に必要な情報入手の容易さをはじめとするソフト面での条件が、余暇活動の種類によって異なる点にあるとみられる。これらの検討結果は、高齢期における余暇生活の今後を考える上で幾つかの貴重な示唆を与えるものである。
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