研究概要 |
住空間における環境要素の複合的作用に基づく快適な環境をつくるための基礎的資料を得ることが本研究のねらいである。従来の研究は各環境要素個々の分野についての独立した研究が主であったが,本研究では各要素の複合的作用に視点を置いている。住居の室内において快適な空間の環境設計を行うため,具体的な環境要素として,室内照明の照度変化,室内温度の変化,および生活騒音のレベル変化を選択した。住生活の範囲における室内照度として,50,100,200,400,800lxを設定,生活騒音としてホワイトノイズ50,60,70,80dBAを設定,また室内温度として15,20,25,30℃を設定して,それらの各組合せにおいて,その評価を行った。評定法には基準値を用いるME法を用いた。室内照度および室温を一定として,基準刺激騒音レベルを60dBAとする時の騒音評定値を100として,各種条件下における騒音レベルの評定値を得た。また,騒音レベルおよび室温を一定として,基準刺激照度を100lxとする時の照度の評定値を100として,各種条件下における照度の評定値を得た。各評定値はかなりバラツキがあるため,ME法で得られた評定値をさらに5段階に分類し,評定値が50,100,200,400,800を中心とするグループに分けて示した。横軸を基準刺激の倍数で,また縦軸を評定値100の倍数で示すと,騒音の場合の基準値60dBAを横軸1とすると,騒音の場合の回帰直線の勾配は0.27〜0.31となり,S.S.Stevensが提案したベキ法則のベキ指数にほぼ近い値である。また,室内照度の場合の基準値100lxを横軸1に基準化して示すと,これより照度に対するベキ指数は0.45〜0.57が得られ,この値もS.S.Stevensの提案した値にかなり近いことより,刺激と評定値の関連をみたこの実験の有効性が確認された。
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