研究概要 |
我々の住生活においては,各種環境要素が多様に存在し,住居の環境を構成している。これら環境要素の調整方法が住居内の快適性を担うものと考えられる。また,近年の住居内では,多数使用されている家庭電気製品から電磁波が発生し,住居内の見えない環境汚染を引き起こしている。電磁波については,疫学的な調査徐徐に進んでいる段階であり,そのレベルに対応する決定的因果関係はまだ示されていない。しかし,大きいレベルの電磁波が,人体に対し悪影響を及ぼしていることは各国で議論されている。本報告では,家庭及び社会生活など,身近な所で使用されている数十種類の家庭電気製品について電磁波を精密に測定している。一方,日本をはじめとする各国の電磁波に対する防護指針,安全基準,規制ガイドラインを調査し,測定された電磁波のレベルを比較検討した。これらの測定によると,ブラウン管をもつ製品,モーターを内蔵する製品,熱を発生させる製品,照明器具,電磁調理器や電子レンジなどの台所用品,PHSや携帯電話などの通信機器など多種多様であり,一応の分類を行った。これらの機器から発生する電磁波の周波数範囲もかなり広く,それらに関する対策も一様ではない。ここでは,電気製品の電磁波発生源,および周波数により大きく分類し,それらの電界および磁界について詳しく検討した。測定値は代表的基準値であるスウエーデンの「VDT規制ガイドライン」および日本の「電波利用における人体の防護指針」に対応させて検討し,今後の電磁波に対する取り組み方について,一つの指針を与えることができた。
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