第2次成長期(10〜15歳)は、年齢的にはちょうどPBM(最大骨塩量)到達前後の重要な期間に属すると考えられ、この間の骨塩量を超音波骨密度測定装置で計測すると共に骨塩量を規定する因子を食生活・生活習慣・運動状況・体力状況・体組成・身体生化学的データ(VDR遺伝子多型も含む)などから検討した。対象は男子216名、女子195名である。その結果は以下のとおりである。 1.骨塩量は男子では身長、体重、除脂肪量、また女子では身長、体重、除脂肪量、体脂肪率の増加と正相関を示した。 2.女子では14歳後半でほぼPBMに達し、男子では15歳でPBMの約95%にまで達した。 3.骨状況を示すStiffness Index、SOS、%age matchedのいずれかまたは複数の指標と、男子では14歳まで握力、背筋力と、女子では11歳から握力と、14歳から背筋力との間に相関がみられた。また男子ではStiffness Indexと12〜14歳で50メートル走、垂直跳びとの間に有意な相関がみられ、女子では11歳でのみ相関がみられた。 4.成長期であるため食物摂取状況と骨塩量には強い関連はみられなかったが、骨塩量の低い群では、骨塩量とカルシウム、乳製品の摂取量、エネルギー、たん白質、脂質、リンの摂取量に相関がみられ、低骨塩層では栄養不足はリスクになることを示唆していた。 5.女子では初潮の発来が大きく影響しており、初潮前後で身長、体重、体脂肪量、除脂肪量の著しい増加とともに、骨塩量も急激に上昇した。 6.34名の女子について検討すると、制限酵素Bsm Iを用いたVDR遺伝子多型において、bb型はBb型よりも血中カルシウム、ALPIII、無機リン濃度が有意に高かった。
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