研究概要 |
昨年は成長期での最大骨塩量に及ぼす因子につき検討したため、本年度は20歳代から80歳頃までの305人についてその骨量測定を行なうとともに、食事、運動、生活スタイル、遺伝子多型性等、骨量に及ぼす因子の調査を行なった。現在その結果の一部の検討が完了した。 1.VDR遺伝子Exon 2の翻訳開始点における多型(M多型)の出現頻度はMM型11.8%、Mm型55.7%、mm型32.5%であった。M多型は制限酵素BsmIによるRFLPよりも、日本人の骨粗鬆症のスクリーニングマーカーとして適していることが示唆された。 2.老年期に入るまでは、各年代とも骨密度はmm型>Mm型>MM型の順で有意に高く遺伝因子が強く骨量を規定していたが、高齢者集団(男性69.7±5.0歳、女性67.7±5.9歳)では、男女とも各型間の骨量差が認められなかった。今回の研究は横断研究ではあるが、高齢者での骨量は遺伝子の影響よりも、女性ホルモン分泌量の減退や加齢による骨量減少、その他の要因の影響の方が強くなることが示唆された。 3.しかし、mm型の現在の骨量と,運動・体力・栄養摂取等との関連をみると、ステッピング、立位体前屈、開眼片足立ち、血清中カルシウム濃度、血清中無機リン濃度、ビタミンD、B_2摂取量と正相関し、mm型では食事・運動等生活因子で加齢による骨量減少を抑えることができる可能性のあることが示唆された。 4.女性の場合、遺伝素因のリスクの高いMM型では、閉経者・未閉経者ともに現在の骨量と過去の牛乳摂取量との関連が強く現れた。
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