着装する人の身体機能と関わり、被服に要求される快適さの程度は相違する。高齢者に着心地の良い被服を提供するには、被服着装の負荷が生体に及ぼす影響を健康な若年と比較して検討し、高年特性を明確にする必要がある。また、被験者の生体負担が少ない測定評価法を確立する必要がある。重心動揺、心電図のR-R間隔、血圧、血流、被服圧、事象関連電位、皮膚表面電位などに着目し、被服圧・被服重量・ヒール高の高さなどの負荷が生体に及ぼす影響について、本年度は主として若年女子を対象にとらえ、次年度の高年実験の方法を確立する。 1.重心動揺・被服圧 被験者6名の腰部形状を横方向で70、75、80、85%に収縮した4種の製作スパッツが、立位・スクワット動作時に生体に及ぼす影響を、重心移動距離・平均速度、重心動揺面積などから検討し、現在解析中である。 2.心電図 裸足及びヒール高3種の4条件で被験者10名について、立位時の3分間の心電図のR-R間隔変動をとらえた。低・高周波帯域から、交感・副交感神経の活動について現在解析中である。 3.血圧変動 測定にはフィナプレス血圧計(2300)を用い、立位時とスクワット動作時の血圧・心拍変動の経時変化を無負荷時・ウエスト加圧時・ヒール靴着装時についてまた、事象関連電位、皮膚表面電位などについても若年を主として検討したが、中・高年では実験内容がこのままではハードなため、実験条件設定に再考が早急に必要となっている。中・高年の被験者が大変得にくく難航しているのが現状である。 4.次年度は高年の実験を予定しているので、今後実験条件や測定を詳細に検討し、解析法を明確にしたい。
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