被服に要求される快適さの程度は着装する人の身体機能により相違する。健康な若年と比較しながら、被服着装の負荷が生体に及ぼす影響に着目し、中年・高年特性を明確にし、その対応を考える必要がある。重心動揺、心拍・血圧変動、被服圧などに着目し、ウエスト部の被服圧・肩部にかかる被服重量・ヒール高の高さ・被服のゆとり量の大小などの負荷が生体に及ぼす影響について検討する。 1. 重心動揺 中年10名については立位、高年については椅座位で、生体に及ぼす影響を、左右・前後方向の重心動揺、重心移動距離、平均速度、重心動揺面積について、若年10名と比較しながら検討する。高年については実験中である。若年・中年のヒール高の実験では、若年が中年より安定し、ハイヒール装着時の重心動揺面積は高年は若年のそれの1.7倍と生体負担が大きい。 2. 心電図 裸足及びヒール高3種の4条件で、立位時の3分間の心電図のR-R間隔変動をとらえる。 高年は実験不可能なので、若年と中年各10名の比較を、交感・副交感神経の活動レベルから解析中で、若年ではヒールが高くなるほどリラックス状態の指標である副交感神経は減少傾向を、活動レベルの高まる指標としての交惑神経は増加傾向を示している。 3. 血圧変動 測定にはフィナプレス血圧計(2300)を用い、椅座位時の血圧・心拍変動・被服圧の経時変化を無負荷時と加圧時について検討する。高年の被験者を得るのに苦慮している。 4. まとめの年度に当たるのでデータ整理を急ぎたい。
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