被服に要求される快適さの程度は、着装する人の身体機能により相違する。被服着装の負荷が生体に及ぼす影響に着目し、若年と比較して中・高年特性をとらえ、快適被服設計要件を明らかにしたい。実験はいづれも室温27℃〜28℃で行った。 1. 若年・中年各10名を対象とした、ヒール高(裸足・低・中・高)の実験では、ハイヒール装着時の重心動揺面積は中年が若年の1.7倍と不安定である。3分間立位時の心電図を解析中であるが、若年では、ヒールが高くなるほど自律神経活動レベルは、交感神経活動の増加傾向がとらえられた。 2. 若年を対象に収縮率の相違する4種(30.25.20.15%)のスパッツが立位・しゃがみ動作に与える影響を重心動揺でみると、15%は動作しにくく、20%がもっとも未着用に近く負担が少ない。 3. 高年23名を対象に、上衣服の脱ぎ着・腕抜き腕入れしやすいゆとり量の着用実験を椅座位で行った。関節可動域が狭まると、背渡りゆとり量がかなり必要で詳細に今後検討する予定である。 4. 血圧・心拍変動で、立位時とスクワット動作時の無負荷・ウエスト加圧・ヒール装着条件について経時変化を若年・中年を対象にとらえた。若年は回復が速やかで血圧・心拍が安定するが、中年の生体負担は大きく、中・高年の実験にはスクワット動作は適切でないことが明らかになった。 5. 高年・中年各10名を対象にウエスト加圧前・加圧中・加圧後の血圧・心拍変動を椅座位でとらえた。加圧の影響は若年より中年、中年より高年と大きくなる傾向がみられるが詳細については解析中で、今後検討する。
|