【目的】これまでの研究で、経口的KならびにMg負荷が、いずれも血圧降下と脂質代謝改善効果のあることが明かになったが、その機序は異なると考えられた。本研究ではKとMgの効果の差異を明かにし、KならびにMg感受性群・非感受性群に分け得るか否かを明かにする。 【対象と研究】対象は十分な了解を得た若年健常者20名、中高年ボランチア13名である。それぞれA・Bの2群に分けcross-over法を用いて、K負荷・Mg負荷をそれぞれ4週間行った。若年健常者では、全ての食事を期間中管理下で行った。K負荷はKCL剤(K:1877mg)を、Mg負荷はMg(OH)_2剤(Mg:411mg)を用いて1日3回毎食後に分服投与した。採血は、負荷開始と最終日の早朝空腹時30分安静臥位にて行った。採尿は、負荷開始前と最終前日の24時間蓄尿を行った。血圧は、負荷開始と最終日の早朝空腹時5分安静座位後に行った。 【結果・考察】血圧への影響:K負荷では尿中K排泄量は負荷前に比し負荷後で有意に増加した(p<0.001)。収縮期血圧は有意に低下した(P<0.001)。血漿レニン活性は変わらず、血漿アルドステロン濃度は変わらず、尿中カリクレイン排泄量は有意に増加した。尿中K排泄量変化率(負荷後/前)とNa排泄量変化率との間に有意な正相関が認められた。レニン・アンジオテンシン系、カリクレイン・キニン系、交感神経系の関与が認められ、Na利尿による降圧効果が示唆された。Mg負荷では、中高年者の収縮期血圧は有意に低下し、尿中Mg排泄量変化率と尿中ノルエピネフリン排泄量との間に有意な負の関連を示し、交感神経の抑制による降圧効果が示唆された。血清脂質への影響:K負荷では、総コレステロール、apoB/AI+AII比は有意に低下した。その機序は明かに出来なかった。Mg負荷では、若年者、中高年者のいずれでも、apo-AIは有意に増加し、LCATが有意に増加した。尿中Mg排泄量変化率の間に有意な正相関を認めた。LCAT変化率とHDLコレステロール変化率に有意な正相関を認めた。Mg負荷により、ヒトでもLCATが有意に増加し、脂質代謝に有効であることが示唆された。対象数が少なく、感受性群・非感受性群に分別することは出来なかった。 【まとめ】血圧は、K負荷ではNa利尿による降圧効果が、Mg負荷では交感神経抑制による降圧効果が示唆された。Mg負荷により、LCATは活性化され脂質代謝に有効であることが示唆された。
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