研究概要 |
10種のモノクロロトリアジン系反応染料スチルベンヒラゾリン系ジスアゾ(Yellow)、ウレイドアゾ(Yellow R)、フェニレンジアミンジスアゾ(Orange)、CI Rcactive Red 4、CI Reactive Red 7、銅フタロシアニン(Cu-Pc)、1:1(Blue-1Cu)及び1:2(Blue-2Cu)型銅錯塩アゾ、CI Reactive Blue 2、ジスアゾ(Brown)で染色したセルロースフィルムを様々な水溶液中で露光し、光酸化及び光還元され易さ、光増感性等を調べた。その結果、好気性の水中でBlue-2Cu、Brown、Yellow R、Orangeは光還元退色を示した。染色物の退色は、染料の化学構造、環境条件に依存することがわかった。次に、異なる濃度のフィルムを乾燥状態で露光し、退色挙動と退色の濃度依存性について調べた。その結果Blue-2Cuを除いては淡色と濃色の退色の順位が一致し、淡色の方が退色が大きかった。更に綿布を染色し、乾燥状態でフィルムと同様に実験を行い、比較検討した。Yellow,Yellow R,Orange,Brownは、染色の際、吸収時間を長くし、表面染色の影響も調べた。布の退色は、初期退色とその後の退色との2段階に分けられた。フィルムに比べて表面積の大きい織物は、初期退色が大きいことがわかった。染色の際吸収時間を長くしたものは、初期退色が減少し、耐光堅ろう度を増進させた。反応染料や比較的親和性が高く、集合を起こすと思われるものを調べたが、フィルム及び布上の退色挙動は染料の本質的な性質や環境条件に依存し、集合等の染料の物理的な性質に関係するという結果は求められなかった。更にこの事実を確かめるため、広い範囲の塩濃度(0.01ー0.5mol dm^<-3>の硫酸ナトリウム)で、C.I.Reactive Red 120の吸着挙動を80℃で調べた。低い塩濃度では、見かけの直接性が低下すること、飽和吸着現象が見出されること、この飽和吸着現象は塩濃度に依存しないこと等が確かめられたが、集合の証拠は見出せなかった。
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