平成8年度調査結果から、「共生」を視野に入れて今後の農村地域づくりを実践していくことは、後世に地域の自然環境や地域文化を継承し、さらによりよいまちづくり・村づくりを行う上で必要な視点であることが明らかとなった。そして、農村女性の力を活かして地域づくりを行っていくことの必要性も明確であった。 この結果を受けて平成9年度では、前調査対象者の中から本研究目的に照らし、さらに地域と女性たちを絞り、今後の地域づくりの上での女性の関わり方やその推進役となるような女性のモデルケースを提示すべく、「生活時間調査」及び「付帯アンケート調査」を行った結果から、以下のような知見を得ることができた。 日頃地域活動を積極的に行っている女性たちは、1.多様な側面においてポジティブな考え方を持っており、2.地域づくりに対し積極的に関わろうとする意識と行動が見られる。3.地域での活動時間をつくり出すために、家族の家事協力を得ることや計画的に生活時間を使う等の前向きで地道な努力を行っている。4.今後の地域づくりの推進役として期待できるのは、50歳代〜60歳代を中心にした女性たちであり、5.農村女性たちの地域参加意識を育て、地域の多様な実践活動につなげていくことが、今後の地域づくりに向けての大きな力となることがうかがわれ、さらに、6.農村女性のエンパワーメントに向けてのボトムアップに結びついていくものと考えられる。 今後の課題は、女性の力を活かす方法をどの地域においても画一的に捉えていくのではなく、地域特性や実情に合わせた活動方向や実践方法を、女性たち自身の手で如何に見出していくかという点である。
|