研究課題/領域番号 |
08680070
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 中村学園短期大学 |
研究代表者 |
松隈 美紀 中村学園短期大学, 食物栄養科, 助手 (40259669)
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研究分担者 |
馬場 良子 中村学園大学, 家政学部, 助手 (90271436)
藤田 守 中村学園大学, 家政学部, 教授 (60037471)
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キーワード | 食物アレルギー / 乳飲期ラット / 超微形態学 / 小腸 / 空腸 / 食物性抗原 / 植物性レクチン / 高分子物質 |
研究概要 |
食物アレルギー発症機序における初期的段階を詳しく解明する目的で、本研究を行っている。平成8年度はラットの乳飲期、離乳期、成熟期の小腸を用い、高分子物質、種々のレクチンおよび食物性抗原が管腔側から粘膜上皮層を通過し、粘膜固有層内へ侵入するか否かを免疫組織化学的、超微形態学的に検索を行った。 乳飲期ラット(生後14日目)の小腸管腔内へHRP、colloidal gold、cationized gold、ferritin、cationized ferritin 等の高分子物質、種々の植物性レクチン、またはovalbumin、 ovomucoid等の食物性抗原を投与し、細胞化学的、超微形態学的検索を行った。その結果、空腸では前記のトレーサーは母乳中の抗体と共に、エンドサイトーシスによって吸収上皮細胞内へ取り込まれ、ライソゾーム内で細胞内消化を受けずに細胞側壁へ移動し、細胞間隙から粘膜固有層内へ侵入することが示唆された。同時期の回腸では、細胞内へ高分子物質が大量に吸収されるが、巨大ライソゾーム内に運ばれ、細胞内消化を受けるため高分子の形での粘膜固有層への侵入は認められなかった。離乳期(生後23日目)および成熟期ラット小腸において管腔内に投与した種々のトレーサーの上皮細胞内への侵入は認められなかった。しかしながら、パイエル板上皮細胞においては細胞内を通過することが分かった。離乳期において、オレンジ果汁(100%)を投与すると、小腸の上皮層に障害が起こり、その部位から種々のトレーサーおよび食物性抗原が粘膜固有層内に侵入することが観察された。授乳期ラット(出産後14日目)の血管内に高分子物質を投与した結果、血管側、乳腺の腺細胞内、乳汁内に観察された。このことから、母体のアレルゲンは母乳中の抗体と共に乳飲期哺乳動物の空腸上皮細胞内に取り込まれ、細胞内を通過し、粘膜固有層へ侵入することが示唆された。
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