研究課題/領域番号 |
08680110
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
下村 吉治 名古屋工業大学, 工学部, 助教授 (30162738)
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研究分担者 |
藤墳 規明 名古屋工業大学, 工学部, 教授 (60101268)
村上 太郎 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (10252305)
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キーワード | 分岐鎖アミノ酸 / 運動 / 分岐鎖α-ケト酸脱水素酵素 / ラット / 雌雄差 / 女性ホルモン |
研究概要 |
分岐鎖アミノ酸は、筋タンパクに豊富に含まれると同時に、運動時のエネルギー源としても利用されることが明らかにされつつある。本研究では、分岐鎖アミノ酸代謝の調節機構に関する基礎的研究と食餌タンパク質が体内の分岐鎖アミノ酸代謝に及ぼす影響を検討した。分岐鎖アミノ酸代謝は、分岐鎖α-ケト酸脱水素酵素(BCKDH)により律速されるが、本研究において、ラット肝臓のBCKDH活性は30%もしくは50%タンパク質のいずれかの食餌を与えても雄より雌で著しく低いので、分岐鎖アミノ酸代謝は雌雄間で大きく異なることが明らかとなった。BCKDHを不活性化するBCKDHキナーゼの活性は雄よりも雌で有意に高いので、分岐鎖アミノ酸代謝の雌雄差はBCKDHキナーゼの発現量の違いにより一部説明できると考えられる。さらに、雌雄のラットを去勢すると、雄では成長率と肝BCKDHとキナーゼ活性に影響はなかったが、雌では成長率の増加とともに肝BCKDHの著しい増加とキナーゼ活性の有意な低下を示し、いずれも雄のレベルに達した。従って、女性ホルモンは、キナーゼの発現量を促進し肝BCKDH活性を低下する作用を持つことが示された。また、肝BCKDHは体内の分岐鎖アミノ酸の充足度を示す指標となっている可能性が示唆された。低タンパク食(8%カゼイン食)を摂取したラット肝臓のBCKDH活性は著しく低いが、運動負荷により雌雄ともにその活性は有意に上昇した。この結果は、タンパク不足の条件でも運動は分岐鎖アミノ酸分解を促進することを意味しており、雌雄ともに運動時の分岐鎖アミノ酸利用率が高いことを示唆している。30%カゼイン食を摂取した雄ラットの肝BCKDH活性は40-50%が活性型で存在することより、次年度の肝BCKDH活性に対するタンパク質の種類の影響を比較する研究では、雄ラットに30%タンパク食を摂取させる条件が適当であることが明らかとなった。
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