習慣的な運動が中高年者の成人病危険因子や体温調節能に及ぼす影響を検討してきた。 本年度は非侵襲的に骨塩量や骨質が評価できる低周波超音波法を用いて骨粗鬆症スクリーニングを行い、生活習慣とくに運動習慣や運動歴との関係、さらに体力水準との関係について検討した。被験者は35〜59歳の女性415名で、閉経前の者281名、閉経後の者134名であった。 1年間にSTでは0.66%、SOSでは1.6m/sec、BUAでは0.3dB・MHzの低下を示し、加齢に伴い骨量および骨質のいずれにおいても退行現象が認められた。閉経後群のST、SOSおよびBUA値は閉経前群のそれらの値に比べで有意に低かった。このことは閉経後のエストロゲン不足からくる骨吸収の増加により骨量の低下および骨質の変化を示唆している。 日常生活での運動実施群と非実施群のST、SOSおよびBUA値はいずれも両者の間に差は認められなかったが、過去に運動経験のある群のST、SOSおよびBUA値は運動経験のない群のそれに比べいずれも高値を示し、その差は有意であった。一方、閉眼片足立ち、握力および全身反応時間とSTの間は相関関係が認められた。 これらのことより、運動の習慣化は中高年者における骨量の減少を抑制し、骨粗鬆症予防として重要な要素であると考える。
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