個人スポーツ選手の競技開始前の状態不安とパフォーマンスとの関係を明らかにするために、本年度は大学生男女の競泳選手を研究対象として選んだ。 これらの対象者の競技開始1週間前、1日前、2〜3時間前、試合直前、試合直後、2日後の状態不安の変化と各試合のチームとしてのパフォーマンスとの関係を分析したところ、以下のような点が明らかにされた。 1 競技開始2時間前及び2〜3時間前の状態不安は、平常時のそれよりも高くなる傾向が認められた。 2 競技開始前の2測定時点での状態不安と個人のパフォーマンスとの関係は明らかではなかった。 3 両変数の関係は個人差が大きく、非常に高い状態不安でプレーした方が個人的に高いパフォーマンスを示す者もいれば、低い状態不安が優れたプレーにつながる者もいた。 4 男子選手よりも女子選手方が、平常時、競技開始前、競技後のいずれの時点においても高い状態不安を示す傾向にあった。 5 泳法の差異における両変数の関係に一定の傾向は認められなかった。 状態不安の測定時間に問題があったので、次年度に再調査の実施を予定している。
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