研究概要 |
ジュニア・スピードスケート選手16名(男子9名,女子7名)を対象に、ローラースケート滑走および氷上滑走速度漸増時の筋代謝動態について明らかにし、スピードスケート競技成績を制限する因子について筋の代謝的側面より検討することを目的とした。 その結果、滑走速度の漸増に伴い肺胞でのVO_2は直線的に、HLa濃度は指数関数的な増加を示した。一方、局所での筋内酸素濃度動態は、滑走速度の漸増に伴う変化は認められず、ほぼ一定の値で推移した。また、短距離-長距離選手あるいはローラースケート-氷上滑走の比較では、専門種目および滑走様式のいかんに関わらず両群ともほぼ同様な値で推移した。さらには、氷上滑走中の総ストローク頻度と%deoxygenationとの間に有意(p<0.01)な負の相関関係が認められた。 以上の結果より、スピードスケート滑走時における局所活動筋内の酸素濃度レベルは、ストローク頻度(筋の収縮・弛緩のリズム)の影響を受けることが示唆された。また、ローラースケート滑走時の筋代謝動態が、氷上滑走時のそれと類似性が高いことから、トレーニング法としてのローラースケート滑走の有効性が確認された。さらには、%deoxygenationとスピードスケート競技成績との間に有意な相関関係が認められなかったことから、スピードスケート競技成績を制限する因子として、局所活動筋内の酸素濃度の影響は少なく、他の生理学的要因により制限されていることが示唆された。
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