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1996 年度 実績報告書

高齢者の転倒予防のための平衡能に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 08680143
研究種目

基盤研究(C)

研究機関早稲田大学

研究代表者

永田 晟  早稲田大学, 人間科学部, 教授 (30087069)

キーワード高齢者 / 体力 / 平衡能 / 転倒 / 誘発筋電図 / 皮膚血流量 / 日常生活動作 / 運動習慣
研究概要

高齢者はほとんどが腰痛症状を示し、骨粗鬆症の傾向をもち、立位姿勢や前屈姿勢に困難を示し、歩行などの移動運動中に転倒する事態が増えてくる。さらに高齢化とともに中枢神経細胞の萎縮と退行化が顕著になり、平衡バランス機能に異常をきたすことが多くなる。こうした現象を予防するための基礎研究の一つとして誘発筋電図(M波とH波)と皮膚血流量(腰椎L_5)を測定しながら、高齢者のバランス機能を評価した。
脊髄ニューロンの興奮性は各種の体位・姿勢の変化によって変化し、体外からの界尺性筋収縮刺激によって変動した。すなわちH波振幅は臥位・坐位・立位によって増大し、アイソメトリックな体幹姿勢保持筋の伸展によって減少した。位置変化に対応した脊髄ニューロンの変化は、興奮性は上位の中枢神経システムからの指令に基づく結果であるが、抑制性は下位の末梢骨格筋群内の筋紡錘と腱ゴルジ器官からのフィードバック・システムによって支配されていることがわかる。突然の障害物によって、上位の予測性フィードフォワード・システムは乱れ、下位のシステムは調節不能となり、転倒事故が生じると考えられる。高齢者の事故を未然に防ぐためには末梢筋や姿勢保持上の抗重力筋のトレーニングと移動中の注意提起が重要であろう。
腰椎L_4部位における皮膚血流量は脊柱起立筋群の筋・筋膜性腰痛症によって低下し、臥位、坐位、立位、前屈位と姿勢を変えることによって増加した。高齢とともに筋・筋膜性腰痛症は多発し、実症の頻発とともに椎骨の変性を伴い、姿勢変化や移動運動の困難性をきたすことになる。しかし高齢とともに歩行を中心とした運動処方の実施によって、腰痛症患者の皮膚血流量の増加傾向が観察され、生活の活動度増大とともに脊柱起立筋の活性化が促進され、腰痛症の改善とともに予防手段として運動習慣の重要性が強調され、日常生活動作(ADL)のレベルアップが証明された。高齢者(40人)の運動習慣の確立は、生活上の事故・転倒などを未然に防ぐものであり、痴呆症発病予防の対策法の一つともなる可能性を知った。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] 永田晟・榎本桂子・恩幣伸子: "腰痛患者の姿勢変化による皮膚血流量フラクタル" 生体時系列データ解析の新展開(北海道大学図書刊行会). 585-598 (1996)

  • [文献書誌] 田中さくら・永田晟: "H波スペクトルからみた脊髄運動ニューロン・プールの興奮性" 生体時系列データ解析の新展開(北海道大学図書刊行会). 703-716 (1996)

  • [文献書誌] 永田晟: "スポーツ生理工学-生体信号の記録と処理" 日本運動生理学雑誌. 3-1. 1-15 (1996)

  • [文献書誌] 永田晟・田中さくら: "萎縮下肢筋群の表面振動スペクトル分析" 体育学研究紀要. 28. 19-24 (1996)

  • [文献書誌] 内山靖・永田晟: "高齢者の健康・体力-平衡機能-" ヒューマンサイエンス. 9-1. 49-57 (1996)

  • [文献書誌] 永田晟・長田充: "腰痛スポーツマンの脊柱起立筋における皮膚血流量と筋放電量" 日本整形外科スポーツ医学会雑誌. 16-2. 35-42 (1996)

  • [文献書誌] 永田晟(K.H.Cooper): "がんと心臓病に勝つ抗酸化健康法(Antioxidant Revolution)" ダイヤモンド社, 258 (1996)

  • [文献書誌] 永田晟: "60歳からの健康・体力づくり" 日本加除出版, 205 (1996)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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