本年度は二つの研究を行った。 一つ目は、高校アイスホッケ-チームの集団についての研究である。研究対象は1チームであったが、過去3年間にわたって資料の収集を行っており、チームの競技意欲の様子の変化を明らかにすることができた。また、今年は集団凝集性に関する調査も行うことができ、対象チームは目的意識が高く、チームの凝集性も高いことが示された。しかし、高校生では学年の意識の差が大きいことも示され、短期間かつ選手の入れ替わりのある状況でチーム意識を形成する難しさがあきらかになった。 二つ目は、大学女子軟式野球チームについての研究である。研究対象は、全国大学女子軟式野球大会出場の全28チームのうち12チームであった(合計154名、平均年齢19.5歳)。12チームは1回戦敗退から優勝までの様々な競技力のチームが含まれた。野球の経験年数は平均1.7年であった。各チームの目標はチームの競技力を反映し、4強常連チームは上位を目指し、下位チームは参加することに意義を見出していた。競技開始の動機は1位野球がやりたい、2位今まで行っていたスポーツに似ていたから、3位新しいスポーツをしたかった、スポーツをしたかった、友人に誘われた、などで、積極的な動機が多かった。 練習は週平均3日で、練習内容、練習日数ともに現状に満足している回答が多かった。自分の技能、競技ルール、体力の向上など、競技にまじめに取り組む姿勢が顕著であり、スポーツ集団として好ましい様子が示された。ただし、75%にあたる9チームは集団成員の規模が20名以下であり、競技人口の少なさが指摘できる。また、競技力に差がありすぎることで競技力の低いチームの意欲低下が問題である。
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