本研究は、集団の形成要因としての競技開始動機、ならびに競技動機の変容からみた集団の凝集性の変化を明らかにすることで、スポーツ集団の集団凝集性を検討する手がかりを得ることを目的とした。 1. 主な研究結果 アイスホッケーチーム対象の調査は1チームであったが、3年間にわたるチームの競技意欲の変化を明らかにすることができた。また、集団凝集性に関する調査の結果、対象チームは目的意識が高く、チームの凝集性も高いことが示された。 大学女子軟式野球チームは12チームを対象とした。チーム目標は、「競技成績の向上」と「参加に意義」が半々であった。主要な競技開始動機は「スポーツ種目自体への関心」つまり内発的動機であったが、競技成績によって動機が異なっていた。日常生活とスポーツの重要さなどの比較では、勝利よりも仲間との関係、学業よりもスポーツが大切にされた。しかし、これも成績別で結果が異なった。 集団凝集性では、競技成績に関連する尺度の得点が低く、人間関係に関する尺度得点が高かった。 2. スポーツ集団研究への課題 スポーツ集団は第一に競技成績別の視点で検討すべきで、集団内での社会化、集団の変容などの視点でさらに観察、調査研究の必要性が指摘できる。また、競技スポーツ特有の指導者対成員に関わる心理的なサポートの視点も今後集団研究に必要となると考えられる。
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