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本年度は、都市地域における商業システムの変貌に関する資料収集とその分析をおこなった。全国の1級行政区(省・自治区・直轄市)毎の統計年鑑を入手し、1級行政区別、及びその内部の各市別の商業の動向を統計的に分析した。また入手可能な県志・市志類をも購入し、商業の変容に関するより詳細なデータの取得に努めた。さらに国会図書館・アジア経済研究所・お茶の水大学等において、商業の変容の分析に必要な新聞・雑誌・地図等の複写資料を入手した。収集されたデータの整理・統計分析・地図化のために学生アルバイトを利用した。特に詳細な分析の対象地域としては、研究代表者が国際学術研究で現地調査が可能であった、河南省鄭州市(大都市)および新鄭市(地方都市)を選択した。
その結果、1)中国における商業システムの社会主義化は、建国初期、大躍進期、調整期、文化大革命期を通じて、ジグザグの過程を経ながらも、文化大革命期において、全国的にほぼ完了したこと、2)商業システムの市場経済化は、1978年以来一貫して全国ほぼ一律に進行し、競争原理の導入、個体戸経営の叢生、自由市場の発展、集団営・国営企業の改革などに特徴が見られること、3)空間的には、大都市においても地方都市においても、小売り集貿市場が数多く開設・整備され特に生鮮食料品の大部分をを供給するようになったこと、大単位(工業や学校など)が自らの敷地の道路に面した部分に個体戸向けの貸し店舗を造成し、多くの商店街が形成されたこと、国営・共同組合営の大規模店舗(百貨店など)が数多く建設され激しい競争が展開されるようになるとともに、店舗内の売場毎の請負経営化が進行していること、さらに大都市では、多数の卸売り市場が市街地縁辺部に整備され物流に大きな変化が生じつつあることなど、興味深い事実が明らかになった。
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