兵庫県南部地震による淡路島の主な被災ため池について、行政側資料、地形分類図、地質図、現地調査、被災ため池の管理者に対する郵送調査等から、地形、地質、池の構造、改修歴、老朽度についての分析を行った。その結果、被災ため池の大部分が谷底平野に分布し、段丘上のものが少なく、地質では沖積層が少なく、大阪層群や花崗岩類が多いことが明らかになった。このことは沖積平野の少ない淡路島では、ため池のほとんどが丘陵や山地内の谷池であることを示している。また、老朽度は築造から100年以上のため池が大部分を占め、築造もしくは最後の改修から30年未満のため池でも本土分より被災率が高いことが判明した。一方、ため池の決壊による水害の主要な3事例(1932年兵庫県三木市、1945年兵庫県稲美町・加古川市・播磨町、1868年愛知県犬山市)について資料や聞き取り調査から洪水状況を復元し、地形や被害、土地利用との関連を分析した。その結果、浸水や被害と地形との間には傾向性が認められ、ため池の受益地での都市化が進展していることから、ため池が決壊した際の浸水を想定した対策の必要性を指摘した。
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