研究概要 |
今年度は以下のようなデータ収集と集計作業を中心に研究を進めた。当初予定していた住民票除籍等の閲覧が許可されなかったため,1990年度と1995年度の電話帳を用い,その間に多摩市内で転居した約5,000世帯を特定した。その中からアンケート対象者を抽出するために,まず転居した世帯の旧住所と新住所を住宅地図を用いて確認し,GISによりその分布図を作成した後,その中から150世帯(移動世帯)をランダムに抽出した。次にこれらの世帯の近隣においてこの5年間に住所が変わっていない150世帯(滞留世帯)をランダムに抽出した。そして,これら300世帯に対し,世帯属性,住環境評価,移動理由(移動世帯のみ)等をアンケートにより調査した。集めたアンケートの単純集計によれば,移動世帯は旧住所に関し,「住宅の広さ」,「住宅の間取り」,「住宅の付帯設備」,「住居費の負担」といった住宅関連の項目について,滞留世帯の現住居に比べ評価が低いことがわかった。現在は,アンケート項目のクロス集計作業を行なっており,次年度は,これら住環境評価の基本構造と移動の意思決定に関する数理統計的分析を行なう予定である。なお,本研究と関係が深い,東京大都市圏の人口移動の研究と環境知覚のレヴュ-論文もとりまとめた。
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