研究概要 |
今年度は,以下のような集計作業と解析作業を中心に研究を進めた。アンケートを回収した各150の移動世帯と滞留世帯のうち,必要な質問項目に回答している世帯のみを最終的な分析対象としたところ,各々100世帯強が対象となった。平均的世帯属性は,世帯主が40歳代のホワイトカラー層で,世帯人員は4人であることがわかった。また,移動世帯,滞留世帯ともに多摩市内に分散している。主な移動理由としては,子供の成長や誕生と,住宅環境への不満があげられる。実際に,移動世帯の旧住居に関する居住環境と滞留世帯の現住居に関する居住環境の評価を比較すると,「住宅の広さ」や「住宅の間取り」等の住宅関連の項目についての評価が低くなっている。滞留世帯について,居住環境の満足度を転居を想定した場合の重要度を比較すると,住宅関連の項目は,転居の際の重要度に比べ,現住居の満足度が低い傾向にある。また,GISにより,総合的な居住環境評価の地域的分布を分析したところ,地形条件と近接性により居住環境評価の高低がある程度規定されていることがわかった。さらに,移動と滞留の意思決定をロジット・モデルによって分析したところ,転居の意思決定は生活環境関連変数よりも住宅関連変数によって説明されることがわかった。
|