研究課題/領域番号 |
08680176
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
藤井 正 大阪府立大学, 総合科学部, 助教授 (20165335)
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研究分担者 |
水内 俊雄 大阪市立大学, 文学部, 助教授 (60181880)
福田 珠己 大阪府立大学, 総合科学部, 講師 (80285311)
塚田 秀雄 大阪府立大学, 総合科学部, 教授 (10068819)
木岡 伸夫 大阪府立大学, 総合科学部, 助教授 (70204823)
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キーワード | 景観 / 風景 / 風土 / 社会 |
研究概要 |
風土学的側面からは、「景観から風景へ」という研究の枠組み・展望が得られた。これは,研究分担者の木岡が、専門の現代哲学の知見をもとに当科研による研究会での議論と熊本県小国町などでの現地調査を通して構築した視点である。従来の都市景観に対する主たる関心であった新旧都市景観の融合のための静的なデザイン論ではなく、生きた風景を生み出すための運動論として性格づけられる。景観創造への住民参加、域内の資材や労働力を活用し、建築物が客観的視線の対象として屹立することなく、日常的行動を通じて身体のシステムに組み込まれてゆくプロセスを重視する。そのなかでは、建築物が地域外からの視線によってシンボル化し、内なる視線がつくられ、イメージが外来者の視線を通して自覚されアイデンティティ、伝統を生む。こうした伝統の根づく契機として、外来者との対話による「間風土的世界」が位置づけられる。木岡は、この研究を風景の生成論への個別的体験と一般的記号作用の通態性に基づく風土学的枠組みから展開した。つぎに風景の生成論という動的な景観分析には、社会的な景観の位置づけや整備への接近が必要となる。滋賀県の長浜では、株式会社黒壁を地域社会と景観整備、商業近代化、まちおこしの鍵として検討した。山形県朝日町では、空気神社をめぐる実態のない景観から社会的な景観の意味が考察された。また、制度的な契機も問題となる。これについては、たとえば函館や長浜、内子の伝建地区指定、まちおこし、商業近代化などの関連性が興味深い。以上、風土学的アプローチと社会地理学的側面の2点にまとめ整理したが、ここから風土学・文化論的接近と経済性や機能性からの検討を、政治・社会的な接近で取り結ぶという当初の目的について展望を開いた。追加予算による11月開始の研究にも関わらず、今後展開してゆくべき重要な学際的刺激・契機、研究枠組みの構築をこの科研から得ることができた。
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