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1996 年度 実績報告書

ESR分析法による東アジアの風成塵起源石英の同定

研究課題

研究課題/領域番号 08680187
研究種目

基盤研究(C)

研究機関兵庫教育大学

研究代表者

成瀬 敏郎  兵庫教育大学, 学校教育学部, 教授 (60033510)

キーワード風成塵 / ESR分析 / 東アジア / 酸素空格子信号強度 / レス
研究概要

1.中国タクラマカン砂漠-黄土高原-韓国-日本列島全域で採取したMIS 2のレス、古土壌中に含まれる微細石英(<20μm)についてESR分析による酸素空格子信号強度を測定した。この結果、東アジアでは(1)シベリア、モンゴルといった先カンブリア紀岩石地域から北西季節風によって高緯度コースを運ばれる風成塵、(2)夏季の偏西風ジェット気流によって中緯度コースを運ばれる風成塵、(3)冬季の偏西風ジェット気流によってインド、中国南部の先カンブリア地域から低緯度コースを運ばれる風成塵が存在したことが明らかになった。
2.この結果から最終氷期最盛期のMIS 2における東アジアの古環境復元、とくにヒマラヤ・チベット高原を中心とするモンスーン変動、偏西風ジェット気流、シベリア高気圧の消長を明らかにできた。
3.福井県黒田・中池見両湿原に堆積する最終氷期泥炭層に含まれる微細石英の堆積量、粒度分析、ESR分析を行った。この結果、(1)MIS 2と4に風成塵の堆積量が増加したこと、(2)風成塵は新ドリアス期、Heinrich events 1〜5、LGMにそれぞれ短期間に堆積したこと、(3)新ドリアス期や4.2万年前には石英を主体とする細粒で量的に多い風成塵が中緯度コースを運ばれ、LGMやHeinrich event各時期にはイライトを多く含む粗粒で量的に少ない風成塵が高緯度コースを運ばれ堆積した。(4)こられの時期に堆積した風成塵がヒマラヤ、チベット高原上の雪原に堆積してアルベドを低下させ、アジアモンスーン地域において、その後の急激な気温上昇をもたらしたとするOverpeck et al.(1996)の仮説を支持する結果を得た。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] 成瀬敏郎: "電子スピン共鳴(ESR)による東アジアの風成塵石英の同定" 地理学評論. 70・1. 15-27 (1997)

  • [文献書誌] 成瀬敏郎: "レス、風成塵からみた最終氷期のモンスーンアジアの古環境とヒマラヤ・チベット高原の役割" 地学雑誌. 106・2. (1997)

  • [文献書誌] Yugo ONO: "Snowline elevation and eolian dust flux in the Japanese Islands during isotope stages 2 and 4." Quaternary International. 37. 45-54 (1997)

  • [文献書誌] 成瀬敏郎: "電子スピン共鳴(ESR)による中国・韓国・日本の風成塵起源石英の同定" 第四紀研究. 35・1. 25-34 (1996)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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