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1997 年度 実績報告書

ルミネッセンスを利用した新しい手法による第四系堆積物の年代測定

研究課題

研究課題/領域番号 08680188
研究機関奈良教育大学

研究代表者

長友 恒人  奈良教育大学, 教育学部, 教授 (80031582)

研究分担者 高田 将志  奈良女子大学, 文学部, 助教授 (60273827)
平賀 章三  奈良教育大学, 教育学部, 助教授 (10031593)
キーワード年代測定 / 光ルミネッセンス / 石英粗粒子 / 微粒子 / 遺跡 / 堆積物 / 赤外光 / 可視光
研究概要

昨年度に決定した光ルミネッセンス(OSL)法の測定条件に従って、本年度は遺跡の堆積物試料、テフラ試料、および湖底堆積物の粗粒子と微粒子試料を用いてOSL年代測定を行い、問題点を検討した。
その結果、以下のことが明らかになった。
(1)50℃、24時間程度で減衰する不安定なOSL成分がある。これはTLの160℃付近の電子捕獲中心に関係している。
(2)石英のOSL線量依存性はTL線量依存性とは必ずしも一致しない。このことはOSLとTLの発光機構の違いによると考えられる。
(3)「OSLの生長曲線(線良依存性)は直線的であり、スプラリニアリティ補正は必要ない」とされているが、試料によっては低線量領域の直線性は保障されず、従って線量依存性のチェックは不可欠である。
(4)若い試料のOSL年代測定(微粒子試料)では励起波長によって線量依存性が異なる。その理由は不明であるが、年代値から判断すると赤外光による励起の方が妥当である。以上の成果は山形県袖原遺跡・富山遺跡、福島県原セ笠張遺跡、兵庫県長瀬川添遺跡、ロシア・ウスチノフカ遺跡などで採取した試料の測定結果より得られた。このうち、ウスチノフカ遺跡試料について得られたOSL年代値は、III遺跡3層7300年、III遺跡4層10050年、VII遺跡第6トレンチ4層18600年であった。また、小川原湖ボーリング試料の測定結果は0-5000年を示したが、この程度に若い試料については検討が必要である。これらの研究により、OSL法は第四系堆積物の新しい年代測定法として実用の段階に入ったことが明らかになった。今後も、個々の試料についての線量依存性、波長特性などについての研究は引き続き必要である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 高田将志: "堆積物のOSL年代測定法-人類紀の新しい年代側定法の現状と課題-" 奈良女子大学文学部研究年報. 39. 53-68 (1995)

  • [文献書誌] 森本 晃, 平賀章三: "活断層のTL年代評価-細粒試料がより若い年代を示すとは限らない-" 奈良教育大学紀要. 46-2. 17-25 (1997)

  • [文献書誌] 長友恒人: "OSL(光ルミネッセンス)年代測定法の基礎的研究-遺跡文化層の年代測" 日本文化財科学会第13回研究発表要旨集. 56-57 (1996)

  • [文献書誌] 長友恒人, 小松久美・他: "旧石器遺跡に関連するテフラ・堆積土のルミネッセンス年代測定" 日本文化財科学会第14回研究発表要旨集. 22-23 (1997)

  • [文献書誌] 長友恒人, 小野左詠子・他: "OSL(光ルミネッセンス)年代測定法の基礎的研究(その2)" 日本文化財科学会第14回研究発表要旨集. 58-59 (1997)

  • [文献書誌] 長友恒人, 藤本研, 平賀章三: "石英・長石のルミネッセンス" 文部省特定研究報告「固体及び表面・界面における動的過程の研究と物質科学教育への応用」. 27-32 (1995)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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