研究概要 |
逆断層が第四紀後期も活発に活動している,庄内平野東縁断層系,山形盆地西縁断層系,北上盆地西縁断層系,長町-利府線,甲府盆地南縁(曽根丘陵断層群),甲府盆地西縁(市之瀬断層群)で大縮尺空中写真の判読を行い活断層詳細図を作成し,併せて断層変位地形の平面形・横断形の測量を行った.何れの地域でも,山麓線から数百m〜1Km離れた盆地・平野側の最前面に,最新の変位地形が現れていることが明らかになった.これらの変位地形は,数千年前程度に形成された完新世面を変位させる場合が多く,断面形はシャープな低断層崖としてではなく,緩傾斜面上のきわめて微妙な傾斜変換部(撓曲崖)となって現れ,変位量も1m〜数mと小さい.従って最新の変位地形の抽出・認定には,十cm〜数十cmの精度を持った大縮尺断面図・平面図の作成が必要である.最新の活断層変位は,より古い変位地形と並走して現れる場合が多く,山麓線から分岐して凸型に平野側に張り出す場合は少なく,連続性は数百m程度と余り良くない.これらは背後に,数万年程度の地形を切る明瞭な低断層崖・撓曲崖を伴う場合が多く,後期更新世以降完新世にも活発な活動を続けていることを示す.詳細な地表形態の分析を行えば,地形をもとにした万年オーダーの活断層活動性評価を千年オーダーで行うことも可能であることが明らかになった.
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