研究概要 |
逆断層が第四紀後期以降も活発に活動している,庄内平野東縁断層系,山形盆地西縁断層系,北上盆地西縁断層系,長町-利府線,曽根丘陵断層群,市之瀬断層群,釜無山断層群,十日町断層で大縮尺空中写真の判読を行い活断層詳細図を作成し,併せて断層変位地形の平面形・縦断面形の測量を行った.その結果,歴史地震をおこしたり活動度がB級以上の活動的な逆断層では,山麓線から盆地・平野側に数百m〜1km離れた場所に,最新の変位地形が現れていることが明らかになった.これらの変位地形は,数千年前に形成された完新世面を変位させ,きわめて微妙な傾斜変換部(撓曲崖)として地表に表現され,変位量も1m〜数mと小さい.従って最新の変位地形の抽出・認定には,縮尺1万分の1程度の大縮尺空中写真の詳細な判読と,十cm〜数十cmの精度を持った大縮尺断面図・平面図の作成が有効である.最新の活断層変位は,より古い変位地形と並走して現れる場合が多く,山麓線から分岐して凸型に平野側に張り出す場合は少なく,連続性は数百m程度と余り良くない.これらの背後に位置する後期更新世の地形を切る明瞭な低断層崖・撓曲崖が震源断層の活動を累積的に反映した主断層線と考えられ,これとの地下浅所での断層構造を,極浅層反射法地震探査やトレンチ調査によって今後明らかにすることが重要である.活断層の詳細な地表形態分析は,トレンチ調査や反射法地震探査の場所選定に貢献し,起震断層となる主断層線とそれから派生した副次的な断層線の識別に有効であり,地震防災上重要な調査法である.
|