研究概要 |
初等物理実験における実験結果に対する学生の追究能力について調査・分析した。実験結果について学生がいかに分析し,その結果を標準値等へ近づけるため実験方法を改善したり,バラツキを小さくする等,納得できるまで繰り返し取り組むことができるかについて,次の課題について実施した。 1.物理学基礎実験の教科書にある課題:三省堂,物理学実験 (1)単弦琴による音叉の振動数の測定,(2)視差法による薄いレンズの焦点距離の測定 2.物理学基礎実験の教科書の内容に近いが,改良型の課題 (1)アナログ電圧計の原理:内部抵抗3KΩの電圧計による20Ω〜200Ωの電気抵抗の測定。表示値との差について検討する。 (2)料理用アルミニウム箔の電気抵抗の測定:長さ25cm,幅3mm〜10mmのアルミニウム箔の電気抵抗を測定し,電気抵抗の形状依存に関する実験式を求める。この結果と箔の厚さの測定から抵抗率を求め標準値と比較検討する。 3.日常の生活経験的な素材や考え方に近い簡単な実験課題 (1)カスタネットによる音速測定:時間と聴こえた音の回数と距離を測定して求める。 (2)まち針を利用した光の屈折率の測定,(3)光電池を利用した豆電球の明るさ測定 上記の課題について調査・分析を実施した結果,2の(1),(2)が現在の学生に適することがわかった。生活経験的な課題は,バラツキの原因が追究しにくい等の理由から,学生にとって,適当な課題でないことがわかった。
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