1997年9月に兵庫県内の公私全幼稚園801園宛に調査用紙を郵送し、園長・主任・担任の3名に回答を依頼した。回答園は443園(回収率55.31%)、回答者は977名(回収率40.66%)であった。調査の目的は、幼稚園教員の環境に対する関心と実践の実態・環境教育の認知度・環境教育につながる保育のあり方に対する考え方とその実践の実態を把握することである。 環境教育という言葉を知っているかどうかという問いに対し、回答者948名中822名(86.71%)が「知っている」と答えが、環境教育という言葉に対し持っているイメージについてたずねると環境教育と読める回答をしたのは半数弱で、現状では環境教育という言葉はすべての幼稚園教員に本来の意味で認められているわけではないようだ。 幼稚園教員は幼児には自然の触れあいが必要で、物を大切にすることも伝えたいとしている。しかし、自然とのかかわりの新しいあり方を模索すること、有害なゴミやリサイクルの存在、環境にやさしいライフスタイルなどを伝えることにはためらいがあるようだ。 園の子どもが体験している自然や環境にかかわる活動についても、家畜・小動物・園芸植物の飼育栽培はよくしているが、自然のなかでゆったりとした時間をとったり、野生植物の栽培、堆肥つくりなどはあまりされていなかった。保育の環境づくりや援助については、自然体験の機会づくりや実物利用などは強く意識しているが、環境に配慮した保育環境づくりや援助は特に意識されていないようだった。 これらの実態をふまえた、現場教員対象の環境教育についての研修は、(1)環境教育とは何かについての基本的な理解(環境を通して行う教育との整合性)、(2)環境に配慮したライフスタイルを保育者自身がもつこと、(3)保育環境づくりや援助のあり方について環境に配慮したあり方を知ること、(4)実践について情報交換することが求められるだろう。
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