研究概要 |
目の高さに中段を,上下20°の高さに上段,下段を配置し,各段に被藤者の鼻骨を中心とする半径1.5mの半円周上にターゲットを左80°から右80°まで20°間隔にスピーカとLEDを同位置に9個ずつ,計27の呈示点を設けた.(1)視覚刺激,(2)聴覚刺激,(3)視聴覚同時刺激の各刺激を0.2秒間呈示し,それらに対する指示を計測した.評価は,指示の方位角のみに注目し,刺激呈示位置からの指示の「ずれ角大きい」,各呈示点に対し4回あるいは10回行う指示の「ばらつき」,刺激呈示から指示終了までの「反応時間」の3指標により評価した.健常成人の計測では、指示の「ばらつき」「ずれ角の大きさ」の2指標は3刺激に対する指示のどれにおいても,左右60°を超える範囲と左右40°以内において傾向が異なっていた.分散分析を行った結果,左右60°を越える範囲において上記2指標に位置依存性があり,左右40°の範囲においてはそれぞれの指標の位置依存性がみられなかった.この結果より,左右40°以内の範囲においては呈示位置の違いによる指示の特性が変わらないと解釈し,その範囲に対する指示のみを群間比較に用いることとした. 健常児群(6名)とLD児群(5名)の計測値を比較した結果,すべてのLD児が3刺激のいずれか,あるいは複数において健常児と比較して定位が劣っている結果が得られた.健常児と差が見られた刺激条件はLD児内で一定しておらず,LD児Aは視覚刺激に対して,LD児Bは鹿覚刺激に対する定位が健常児と比較して劣っていたという風に個人差が大きかった.視覚刺激に対し,健常児と差を示したLD児には,視覚刺激に対して反応できなかった点の多さも目立った.また,各刺激,指標に関してLD同士で比較した結果,LD児同士でも差が認められた.
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