研究概要 |
1.小学校,中学校,高等学校を見通して育成したい情報能力の達成目標として,既に作成した情報知識・情報概念,情報メディア操作技術,情報態度・習慣の3領域からなる段階的・系統的具体的情報活動目標(試案)を改善するために,新潟県・東京都・神奈川県・長野県・栃木県の現職教員を対象として,この試案に対する意見を収集する調査を行い,それを基にして,小学校低学年,小学校高学年,中学校,高等学校までを見通した各学校種ごとの情報能力の段階的・系統的情報活動目標を確定した。 2.上記の小学校低学年,小学校高学年,中学校,高等学校までを見通した各学校種ごとの情報能力の段階的・系統的情報活動目標と,各教科の目標・内容との関連を検討し,一覧表に整理した。 3.確定した小学校低学年,小学校高学年,中学校,高等学校までを見通した各学校種ごとの情報能力の段階的・系統的情報活動目標に基づき,小学校における情報教育に焦点をあて,構成主義学習観に立ち,情報への欲求の醸成,情報の探索・収集・選択・加工処理・創造生成・蓄積・発表・伝達・交流までの一連の情報活動を盛り込んだ情報教育プログラムを実験的に試行した。これは,地域に焦点を当てた体験的情報探索活動を基盤として,小学校4年生社会科「いろいろな地域の人々のくらし」の単元を対象としたものである。このプログラムでは,地域調べを中心とした体験的な情報探索活動に基づく,情報の受け手を意識したマルチメディア表現活動,インターネットやFAX等を用いた情報交流活動,並びに,SCS(衛星通信)を用いた交流学習を取り入れており,新潟県T小学校4年生17名,岐阜県O小学校4年生24名,香川県S小学校4年生36名を対象として実験的に試行した。 その結果,情報の収集,表現,伝達交流,再表現行動に積極性がみられ,また,レベルの高いプレゼンテーションとコミュニケーションの出現がみられたことから,今回の開発試行により,小学校における情報教育プログラムの指針をしめすことができたのではないかと考える。
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