研究概要 |
1.平成8年度には、小・中・高校を見通して育成したい情報能力の達成目標として,情報知識・情報概念,情報メディア操作技術,情報態度・習慣の3領域からなる段階的・系統的具体的情報活動目標(試案)を作成した。平成9年度には、それを改善するために,新潟県・東京都・神奈川県・長野県・栃木県の現職教員を対象として,この試案に対する意見を収集する調査を行い,それを基にして各学校種ごとの情報能力の段階的・系統的情報活動目標を確定した。2.確定した情報能力の段階的・系統的情報活動目標に基づき,小学校における情報教育に焦点をあて,構成主義学習観に立ち,情報への欲求の醸成,情報の探索・収集・選択・加工処理・創造生成・蓄積・発表・伝達・交流までの一連の情報活動を盛り込んだ情報教育プログラムを実験的に試行した。(1)体験活動を盛り込んだ情報活動を中核にすえた情報教育プログラムを作成し、2年生活科における平成8年度1年間の長期単元において試行した結果、学習者の情報に対する前向きな態度が形成され,また,情報メディア活用技能が向上した。(2)平成8年度に、4年社会科「水と人々のかかわり」を題材として、体験的な情報探索活動に基づく、情報の受け手を意識したマルチメディア表現活動を岐阜県A小学校36名に行わせた。情報に対する意欲調査,内発的動機づけ,イメージマップテスト、メディアに対する先有知覚調査を行い,合わせて児童の制作した作品を評価した。その結果、マルチメディア作品の情報表現力・情報伝達力が向上し、学習内容の構造的把握が促進され、さらに体験的活動及びマルチメディア活用に対する意識が向上した。また、情報の受け手を意識しながらの内省的な学習が成立していることが判明した。(3)平成9年度に、地域に焦点を当てた体験的情報探索活動を基盤として、小学校4年社会科「いろいろな地域の人々のくらし」の単元において,地域調べを中心とした体験的な情報探索活動に基づく,情報の受け手を意識したマルチメディア表現活動,インターネットやFAX等を用いた情報交流活動,並びに,衛星通信を用いた交流学習を取り入れ,新潟県T小学校4年生17名,岐阜県O小学校4年生24名,香川県S小学校4年生36名を対象として実験的に試行した。その結果,情報の収集,表現,伝達交流,再表現行動に積極性がみられ,また,レベルの高いプレゼンテーションとコミュニケーションの出現がみられた。今回の開発試行により,小学校における情報教育プログラムの指針をしめすことができたと考える。
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