1. 初年度:(1)コンピュータを用いた授業で発生するトラブルの要因を分析した.(2)学級への新たなテクノロジーを従来の教室文化に同化させるように使用する教師の無意図的態度「文化的同化」を検討した.(3)インターネットのもたらすものと学校文化とのコンフリクトを検討し、インターネットによる情報の交流のもたらす早期の異文化接触による価値形成のパラドックス化と、学校・学習文化を侵犯するものとしてのインターネットの特性と問題を検討した.(4)質的データ分析手法の適用と検討を行った. 2. 第二年度:(1)「文化的同化」理論を強化するため、教育委員会所蔵の学習指導案集など、教育実践に関する文献資料を対象とした研究も行った.(2)授業におけるインターネットの利用の際の現状の問題と今後の課題を観察・調査・分析した.(3)フリースクール(オルタナティブスクール)におけるインターネット利用について観察を開始し、記録作成と分析を継続し、さまざまな知見を得た.(4)以上の研究に用いている質的研究法について、研究手法の検討、開発、改善を継続して行った. 3. 最終年度:(1)電子メールの特性に関して、諸メディアの特性の比較や、言語行動と関連させた考察を通して明らかにすることを試みた.(2)従来の学校文化・学習文化とインターネット利用授業との文化的コンフリクトについて、フリースクールにおけるインターネット利用の継続的な観察と、公立学校でのインターネットを用いた総合的な学習における問題の検討を通して明らかにした.(3)インターネットの利用における予期しなかった結果に関して、実際の事象の観察・分析と、インターネット上での追調査によって明らかにした.(4)教育実践研究(授業研究、教師研究)と質的研究について、質的研究の立場から論じた.
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