研究概要 |
平成8〜10年度の3年間にわたる研究期間を発足する第1年度として、日本人学生のための英語教育のうちで、英語の音声の聴取・発音の段階の指導のために、今年度はまず、日本語と英語の音声の母音・子音体系の違いの、音声学的な分析にもとづく系統的な表記について、指導法の観点から詳細な検討をした。 この研究の過程で、音声の聴取・発音の学習には、発話に伴う口形の変化の情報を組み合わせて活用することが、日本人学生にとって非常に有利であることに注目した。そして、このための教材の作成の基礎データとして、とくに子音体系の分析で、国際音声記号体系(International Phonetic Alphabet,IPA)の調音の方法と調音の位置との2次元に子音を配置した表の上で、口形の変化の分析データを参照して、同じ口形に属する領域を設定した。 これらの異なる口形は、調音の位置の次元に対応するので、調音の方法の異なる音声が同じ口形の領域に存在するが、英語と日本語の子音体系の違いのために、これらの同口形異音の構成が異なる。そこで、このような同口形異音のなかでの調音の位置と方法の関係を、音声の聴取・発話の教材に組み合わせるために、最も適切な手順について、感覚情報処理からの見地も含めて検討した。 なお、これらの結果は、諸外国の語学教育にも応用でき、この分野の研究者にも広く関心を持たれるべきものであるから、11.研究発表に記載したように、関連する国際会議などで報告をした。
|