研究概要 |
海外側と日本側の間に翻訳協力者が立ち、交流を促進する機構(人と機械のシステム)を、「翻訳協力システム」とよぶ。この研究では、言語は日本語と英語の翻訳と設定している。問題点が明確になれば、他の言語の場合への応用は容易である。 実際の交流は研究協力校である兵庫県揖保郡神部小学校5年生(指導者石堂、岡本先生)と、イリノイ州ウィートンのカ-ル・サンドバーグ小学校3,4年生(指導者サラ・オールトン先生)の間で行った。翻訳協力者は本学英文学科学生である。 1 本学のパソコン通信ホストMIETに翻訳協力用電子掲示板を設定した。作成したボードは次のとおりである。 ボード1:海外からのメール・ボード 海外からのインタネットメールを翻訳をした後、原文とともにこれを転載するためのボードである。 ボード2:海外へのメール・ボード 神部小の生徒のメールを神部小が書き込む。翻訳協力者がこれを英文に翻訳をしサンドバーグ小に転送する。 2 翻訳者へのネットワーク利用方法の研修 英文学科では現在のところ情報教育がなされていないため、電子メールなどインターネット利用法の研修を行った。 3 日本側交流校へのシステム理解のための研修 研究協力校においては、ネットワークの利用が初めての教員も存在するので、利用についての研修を行った。 4 翻訳者が介在する形態をまず研究し、翻訳ソフトを使う仕組みは、準備にとどめた。 言葉の壁を無くす翻訳を行い、インターネットによる教育交流の仲立ちをするためには、日本と海外双方からのメールを保存し、翻訳して交流校に渡すしくみが必要である。そのしくみとして、 (1)翻訳者、海外の交流校(以下海外側という)と日本の交流校(以下日本側という)の3者がすべて電子メールを利用する。(2)3者がすべて電子掲示板(以下ボードと呼ぶ)を使う。(3)目的により、電子メールとボードを使い分ける。の3つが考えられる。しくみとして(1)の方法は、記録を残したり、文書の整理が新しい仕事として翻訳協力者の負担になること、複数の翻訳者の協力が困難であることが判明した。(2)の方法は、海外側にとって、日本側の掲示板へのアクセスが必要となること、日本語がわからない場合があること、日本語を表示するコンピューターなどの器材が無いことなどの困難点が考えられる。そこで(3)の方法として、翻訳者は海外側には電子メールで、日本側にはボードで伝える事とした。 翻訳に関しては、交流に関係の無い第3者が翻訳協力者である場合と、交流を推進する指導教員が語学教員の援助を得る場合、および翻訳ソフトを利用する場合が考えられる。本年は前者の方法を立ち上げたが、次年度は他の方法も探りたい。また、第4のしくみとして、急速に身近となったWWWのホームページが考えられるので、その可能性を探る準備を始めた。
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