研究概要 |
障害受験生に対する適切な試験時間の延長量を推定するため,試験時間を制限しない作業制限法の実験結果から推定した障害受験生に対する試験時間の倍率が,実際の試験の多くが実施されている時間制限法でも適切であるかどうかを吟味する. 作業制限法の選考実験から墨字問題の健常受験生に対する点字問題の視覚障害受験生の試験時間の倍率は,数学は1.5倍,英語は1.7倍,国語は2.1倍が適切であると推定された. このため,2年計画で大学入試の国・数・英の3教科を作業制限法と時間制限法とで出題し,健常受験生と視覚障害受験生の解答過程を比較分析する. 本年は,大学入試センター試験で国・数・英の3教科を受験した大学1年の健常学生43名を被験者として実験を行った. 実験システムには先行研究により操作感覚がペ-パ-・ペンシル・テストとほぼ効用である事が明らかにされているコンピュータライズド・テスト・システムを使用した.本システムはペン・コンピュータを使用して開発したものであり,本補助金により購入した13台を含め現在24台を保有している. 実験条件は3要因である.教科の要因(国・数・英の3教科),問題の要因(問題は2セット)及び試験方法の要因(作業制限法と時間制限法)である.時間制限法の試験時間は,各教科とも先行実験から求めた健常受験生の67%が解答を終了する時間とした. 現在,結果の分析中である.横軸に解答所要時間をとり,縦軸に被験者群がその解答所要時間までに獲得した得点の割合をプロットした得点率曲線を求める.作業制限法と時間制限法の二つの条件がこの得点率曲線に及ぼす効果を分析する.
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