英語教師による生徒の誤り訂正行動についての記述的データを得るために、教育実習生による41の授業(中学校)を録画し分析を行った。その結果、以下のことが明らかになった。 1.誤りの発生頻度が極めて低く、その原因は文法説明および機械的反復練習が多用されているためである。 2.頻度の高い誤りは、主に文法、語彙、発音であった。 3.大多数の誤りが訂正され、無視されるケースは多くない。 4.機械的練習については、生徒に自己訂正を促す方法よりも、教師が直接的正答を提示して訂正する方法がより多く使われた。 5.コミュニケーション活動については、直接的な訂正方法(interruptive error treatment)よりも生徒の発話をさえぎらない訂正方法(non-interruptive error treatment)がより多く使われた。しかし、実際は限られた数の教師しかこの訂正方法を使っていないことが明らかになった。 今後の研究で明らかにすべき内容として以下の点が考えられる。 1.現職教師の訂正行動の記述の必要性 2.母国語話者の教師(ALT)と非母国語話者(JTE)の訂正行動の差違 3.誤りの発生頻度と、授業での練習の質および指導効果との関連。 4.自己訂正と教師の正答提示による訂正の効果の差違 5.発話の流れを阻害しない訂正方法(non-interruptive error treatment)の認知的・情意的な効果
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