「一般化」問題の解決に役立つ「表や図から式を作る」方略の指導方法を検討するために、3つの学校の4学年6クラスを対象に「評価・改善」活動を伴う指導を行う実験群と「評価」活動だけを行う統制群を作り、事前・事後テストを実施して比較した。「評価・改善」活動を伴う指導とは、個々の考えのよい点と問題点を明確にし、よりよい方法に改善する活動を全員に保障する指導である。他方、「評価」活動のみの指導とは発表された多様な考えに対してどれがよりよいかを検討する活動を保障する指導である。 事前・事後調査問題は、「一般化」問題をもと、小さい項数(n=6)と大きい項数(n=100)の設問のある問題1、やや大きい項数(n=16)の設問だけの問題2、小さい項数(n=8)の問題に対する多様な考えを評価させる問題3の3問題から作られた。分析の結果、以下のことがわかった。 (1)小さい項数の問題では実験群の方が事後テストの成績がよかった。これは、事前テストで誤答した子どもの中で事後テストで正答する子どもの割合が多かったことによる。 (2)大きい項数、やや大きい項数の問題では両群に事後テストでの成績のちがいが見られなかった。 (3)多様な考えの一般性の観点から評価する問題では、事前・事後テストの変容で両群間に異なる傾向が見られた。すなわち、「一般化」問題に正答した子どもについて実験群は事後テストで「一般性」のある考えを選択する者が増えるのに対して逆に統制群は減った。 以上の結果は実験群の指導方法に改良の余地があるが「評価・改善」活動の重要性を示唆するものである。
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