研究概要 |
本年度は,研究計画に従って以下の3項目の研究を行った。 1 テスト問題解答過程における認知構造の特性分析:本研究の中心的課題である解答者の認知構造の特性を考慮した社会科テスト問題作成のための基礎的研究として,今回は中学校社会科地理分野の資料問題(気候区分に関するテスト問題)を取り上げ,実際の解答過程における子どもの認知構造を分析し,この結果から資料問題作成において満たすべき作問上の条件を明らかにした論文を発表した。 2 社会科テスト問題の開発:評価目標や評価基準の決定,解答者の認知構造の特性の検討,等を要素とするテスト問題作成の手順を明らかにしてテスト問題作成方法を理論的に示すとともに,この理論をもとにした具体的なテスト問題の作成の手順およびこれまでに作成したテスト問題事例を紹介した論文を発表した。今回は中学校社会科歴史分野・地理分野の望ましいテスト問題を開発した(地理的分野のテスト問題は未発表)。実際の解答過程での子どもの認知構造の分析によるテスト問題の有効性の検討は次年度に行う予定。 3 社会科テスト問題データベースの作成:テスト問題データ・ベース作成の基礎作業として社会科テスト問題の分類枠の作成とテスト問題の事例(高校入試問題,中学入試問題,市販テスト,公立中学校定期テスト問題)の収集を行った。このデータベースは次年度はじめに基本構造が構築できる。次年度は,データベースに試験問題事例を入力して実際に活用できるものにする。また,これまでに明らかにしたテスト問題作成方法の理論を基にして新たに望ましいテスト問題を作成し,実際の解答過程での認知構造を分析して,テスト問題作成方法のより整備された理論をつくるとともに望ましいテスト問題事例の開発を行う予定であるが,開発される社会科テスト問題データベースはこの作業の支えとなる。
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