計算の誤りを自分で修正できるようになるためのメタ認知的教授介入の効果について、次の点が明らかになった。 1.小学校3・4年生を対象に、メタ認知的教授介入として、a)他人の行った計算エラー(計算している手元が大きく映っているビデオを見る)について、誤りの箇所をみつけ誤りをした理由を考える、b)上記のa)についてグループ討議する、c)自分の計算エラーについて、同様に誤りの箇所とその理由を考える、の働きかけを行った。グループ討議の結果、他人の行った計算エラーの箇所や原因について妥当な推定が出来るようになったが、それでも自分の計算エラーの発見ができないケースがみられた。他人の計算エラーよりも自分の計算エラーの修正は難しいといえる。 2.メタ認知的教授介入の結果、3年生の引き算テストの結果は有意に上昇したが、4年生のかけ算テストには変化がみられなかった。計算の意味については、引き算では分解した計算の理解(例:301-158の計算を、301-100、301-50、301-8と分けて行い全部の答えをたせば同じ答えになるか?)が有意に上昇した。かけ算では、1の位のゼロの処理(例:970×340の計算は、97×34の答えの後にゼロを何個つければよいか?)の理解が進んだが、有意差は認められなかった。 3.かけ算で、テストや意味の理解にあまり変化が見られなかったのは、最初のかけ算テストの平均点が高かったことと、1グループの人数が多くなり、討論への参加度の低い者のあった事が影響していると考えられる。
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