研究概要 |
5人一組でパスを繋いで味方のゴールマンにパスするポートボールを基本としたゲームを小学2,4,6年生,ならびに大学生(計160名)に,それぞれ10分間行わせ,ゲーム様相をVTRに記録し,ゴールマンの動き,フィルドプレーヤーのボール保持時間,インターセプト数等の事象を分析した. ボール保持時間は2から4年生での発達が,インターセプト数は4から6年生での加齢的変化が顕著にみられた.いずれも″外的ゲーム状況に対する選択的注意″から″プレーの遂行″までの過程と関連していると考えられ,状況判断の速さは2年生から4年にかけて,正確性は4年から6年にかけての発達が著しいと推察された.また,″外的ゲーム状況に対する選択的注意″から″プレーに関する決定″までの過程の応力は,ゴールマンの動きや状況判断能力テスト(攻防相乱型ボールゲームで状況判断能力が係わると考えられる6場面からなるテストVTRに対する回答で評価)の成績から加齢的に成人まで穏やかに発達していくと考えられた. さらに,多点注視選択反応時間(左右と前方の3ヶ所にある3種の光刺激に反応する時間)は,2年生が1,077ms,6年生が865ms,大学生が962msを示し,2年から4年にかけての発達が顕著に認められた.また,見落とし回数は児童期ではほぼ同値を示したが大学生で有為な減少がみられた. これらのことから,プレー中の状況判断能力を主観的に指導者が評価した成績が低学年児童で低かったことには,基礎的な状況判断力に係わる多点注視能力(外的ゲーム状況に対する選択的注意能力)の未発達であることが関係していると考えられた. 以上のことから,低学年児童は,多人数での攻防相乱型ボールゲームを行うレディネスは不十分であると考えられ,ゲーム教材の学年配当の祭に留意する必要が示唆される.
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