1 1960年代以降のアメリカの教育の現代化および家庭科教育の現代化に関する資料を調査・収集した。この作業は、大学の中央図書館の文献検索システムの利用および広島大学・京都大学・東京大学等の各図書館の所蔵資料調査を通して進め、国内・国外に文献の貸借・複写を依頼した。 収集した資料は、研究室備え付けのワードプロセッサを用いて整理すると共に、複写した資料は、ファイルにより整理した。 2 アメリカの家庭科教育の現代化の流れおよびその中で形創られていった新しい家庭科教育の理論の系譜を把握するため、1960年代の教育改革以後の家庭科のカリキュラムの性格と編成の理論を、教育改革以前(1961年)から今日まで6回の改訂を重ねながら出版され続け、アメリカで最も「古典的である」と評価されると共に、我が国でも高く評価され、第6版は訳本も出版されたTeen Guide(第1版〜第7版)を手掛かりとして、アメリカにおける家庭科教育観の変遷を考察した。その結果、1960年代に出版されている第1・2版において経験主義を教科理論とし「Good Homemaker」の育成を目的とした教科であった家庭科が、1980年代の第5・6版では科学主義を理論とし「生活科学者」を育成する家庭科へ移行し、1970年代の第3・4版は60年代と80年代の両者の考え方が混在した「合理的意思決定者」を育成しようとした移行期にある家庭科、さらに1990年の第7版では経験主義・科学主義の反省に立ち、両者の利点を指向する新たな教科理論により「科学的生活者」の育成を目的とする家庭科に転換しているととらえられた。この結果は、日本家庭科教育学会全国大会で口頭発表すると共に、現在、同学会誌に投稿するために論文作成中である。
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