平成9年度に行った研究によって得られた成果は、次のようになる。 1.平成8年度に分析した「Chemistry in the Community」、「Chemistry in Context」、「Salters Advanced Chemistry」などの諸外国の中等学校の化学カリキュラムを参考にして、科学・技術・社会の相互関係を重視した化学教材を開発した。教材として扱った内容領域は「有機化学」であり、次のような指針にそって教材を構成した。 (1)化学に対する生徒の興味・関心を促進すること (2)教材内容の選択と配列においては、内容相互の文脈(コンテキスト)を重視すること (3)実験・観察、討論、ロールプレイ、学校外施設の見学などを授業に取り入れ、学習活動の多様化を図ること 2.開発された化学教材をもとに、授業の実施時期、配当時間、ならびに授業毎の指導目標、学習内容、指導過程、指導方法など、具体的な指導計画を立てた。 3.次年度は、研究協力校(広島大学附属中・高等学校、同附属福山中・高等学校、広島県立祇園北高等学校)において、開発した化学教材を用いて実際に授業を行うこと、研究分担者は授業観察を継続的に行い、教師の教育活動および生徒の学習活動を捉えることを確認した。また、生徒の意識や態度の変容をとらえるために評価問題を作成し、授業の前後で調査を行うことも確認した。
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